公道を走れるレーシングマシン|BMW M4 GTS

公道を走れるレーシングマシン|BMW M4 GTS

BMW M4 GTSは、BMW M社が培ったモータースポーツ技術を結集して開発したM史上最も圧倒的で痛快な走りを実現した2ドアクーペのスペシャル版です。今回は、その走りと性能の魅力に迫りました。

1. BMW M4 GTSは公道を走れるレーシングマシン

BMW M4 GTSは世界限定700台、日本への割り当てはイギリスと同じわずか30台の希少モデルです。

市販車としては、世界初のエンジンにウォーターインジェクションシステムを取り入れ、ノーマルM4クーペの431psの3リッター直列6気筒ツインターボエンジンを500psにまで高めたのが最大の特長といえるでしょう。

その他に、従来のLEDライトと比較して点から平面に均一に発光可能なオーガニックLEDランプが搭載されており、これにより先鋭的なリアビュー形成が可能で、量産車としては世界初。話題性も十分です。

GTSのコンセプトは極めてシンプルで、「公道を走れるレーシングマシン」として、エアロダイナミクスからシャシー&サスペンション、パワートレーンから軽量化まであらゆるパートにM社のこだわりが反映されています。

M4では少し物足りなかった、レーシングカーらしい荒々しいオーラや、刺激的な乗り心地を求めるユーザーを十分に満足させる出来となっています。

1-1. MotoGPのペースカーとしてデビュー

GTSは、MotoGPのペースカーとして2015年10月の東京モーターショーで世界初デビューを飾り、2016年4月の国内販売ではスタンダードのほぼ倍の1950万円という高価格にも関わらず、即刻売り切れました。

M4とは違う雰囲気を醸し出し、スーパーカーとは一線を画した武闘派のような威圧感は巨大なリアスポイラー、室内から鈍い光を放っているロールバー、異様なまでに削ぎ落とされた車高からも感じ取ることができます。

インテリアには、6点式シートベルト、消化器ホルダーまで搭載されており、センターコンソールボックスが外されたドアトリムもドアポケットがなく、インサイドドアハンドルもストラップに変更されているほどのこだわりで、明らかに通常の車とは異なるレーシングカーといえるでしょう。

1-2. BMW M4 GTSにはロールバーが標準装備

GTSにはロールバーが標準装備され、リアシートは省かれています。日本仕様はオレンジ塗装のロールバーで、室内から放つ光とそのデザインは雰囲気が十分に感じられます。

またリクライニング調整ができないデザインとなっていて、このことからもGTSはあくまでもレーシングマシンとしてこだわりをもってつくられたことがわかります。

2. 500馬力を誇るBMW M4 GTSの秘密

M4 GTSの最大の特長であるウォーターインジェクションシステムを採用したエンジンは、なんと500馬力を誇ります。エンジンをかけると4本のチタン製マフラーから野太い排気音とともに、桁違いのパワーを感じることができます。

この排気音の音量はバックファイヤーの音と共にお祭り騒ぎのように盛大でドライバーは興奮を隠せないでしょう。

ウォーターインジェクションシステムの水タンクは、トランクルームの床下に設置されており、インジェクターから蒸留水を噴射して吸気温度を下げて燃焼効率を高めていく仕組みとなっています。

GTSが誇る異次元の馬力は、ボッシュ開発のウォーターブーストにその秘訣があります。馬力だけではなく、CO2も削減しているという点も見逃せません。

2-1. M4 GTSが搭載するウォーターインジェクションシステムとは

GTSが搭載するウォーターインジェクションシステムの特長は、従来の燃料冷却に変わる新技術で、サージタンクに水を噴射し、気化で熱を奪わせてシリンダー内の温度を下げる仕組みになっています。

高回転域とスロットルに最も負荷がかかる時にインテーク・プレナムに蒸気を噴射するこのシステムは、エンジンがオーバーヒートするリスクを抑え、ブースト圧を高める機能があります。

同システムの採用で高いブーストと理想的な燃料噴射タイミングを実現、エンジン出力とトルクをさらに高める事が可能となりました。

トランク内に設置された水タンクは、定期的に蒸留水を補充する手間はかかりますが、ノッキングを抑えて高出力化を実現し、燃費の向上にも貢献しています。

2-2. パワーとエコを両立するM4 GTS

500馬力という凄まじいパワーを持っていますが、レーシングカーとしての燃費性能も低くはなく、7.7km/リッターを記録しています。GTSは、馬力とエコを両立した稀有なモデルといえます。

ボンネットやトランク、3ケ所のスポイラーがCFRP製となっている点も馬力とエコの両立に貢献しています。凄まじい馬力だけではない点はGTSの大きな進化といえるでしょう。

3. ニュルチャレンジそのままの足回りを持つBMW M4 GTS

M4 GTSはスポーツカー開発の聖地であるニュルブルクリンク北コースでM4クーペより30秒早い、BMW市販車史上最速の7分28秒を記録しています。GTS市販車は、このニュルブルクリンク北コースで走った同等の仕様で一般公道を走ることができます。

コイルとショックアブソーバーが一体化した4輪のコイルオーバーサスペンションは、車載の工具で細かく調整できます。実際に走り出すとアシの硬さは強く感じることができるでしょう。

3-1. M4 GTSのステアリング性能

M4 GTSのステアリング性能はレーシングカーらしく締め上げられていて、重く感じられます。

タイヤは「ミシュラン・パイロットスポーツ カップ2」で、サスペンションはノーマルより6割増しに硬いスプリングが備わる車高調整式コイルオーバー・サスペンション(KWオートモーティブ製)で、車高は最大フロント20ミリ、リアは17ミリ下げることが可能です。

ブレーキはカーボン・セラミック製が標準装備となっており、フロント19インチ、リア20インチのアロイホイールは標準のアルミニウム・ホイールからカーボン・ホイールにかえれば、7kgも軽量化でき、さらに快適性が増します。

3-2. 街乗りするには工夫が必要

M4 GTSは、実際に乗ってみると、レース仕様のため、シートが倒れすぎていて前がよく見えないという難点があります。

背もたれの角度が変更できない、フルバケットシートが採用されているためで乗り心地は抜群に良いのですが、公道を走る際は背中に高反発クッションを置く等、工夫が必要といえるでしょう。

乗り降りもしにくく、低い車高とエアロパーツで生じる段差での車体下部の接触は運転時に配慮が必要で、突き上げやボディの上下動も大きいことも街乗りの際には考慮したい点です。

実用性に全く配慮がないわけではありませんが、やはりその特性を存分に味わうのであれば、サーキットで確かめたいところです。

ちなみに取り扱い説明書では、前端部4段階、後端部2段階の高さをドライバーに合わせてボルト調整が可能となっています。

4. BMW M4 GTSを楽しむためのドライブモード

M4GTSは「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」の3つのドライブモードが楽しめます。「スポーツ」以上のモードにすると、スロットルレスポンスが過激なまでに鋭くなります。

「コンフォート」モードでも十分にサーキット感覚が楽しめますので、普段乗りこなすのであれば「コンフォート」モード、非日常感覚を味わいたいというユーザーは「スポーツ」以上のモードが適しているといえるでしょう。

4-1. BMW M4 GTSが魅せる怒涛の加速

GTSが魅せる怒涛の加速感覚は、凄まじく、感動に値する性能です。4000rpmからの3リッター直列6気筒ツインターボエンジンのパワーは異次元で、7段DCTで7500rpmまでもってゆく加速感はもはや究極的といえます。

アクセル全開時の鋭いレスポンスは、ドライバーを昇天させてしまうほどの爽快感を味わえるでしょう。アクセルオフの際の素早い回転落ちもレーシングカーならではで感動的です。その際の落雷のような炸裂音は車内外に響き渡り、非日常の楽しさが満載です。

ミドル・レンジのパワー感は圧倒的にも関わらず、細やかなアクセル操作にも繊細さがあります。高回転域も同様で、これはスーパースポーツの領域にあるモデルと言えるでしょう。

7速DCTも素早くシフトアップしますが、極低速域ではギクシャク感も感じられます。しかしこれは加速性を重視した制御のためで、のちの圧倒的な加速感覚を考えれば、不快どころかドライバーの気分を高揚させる演出に感じられるでしょう。

5. BMW M4 GTSは速度と運転感覚の向上が比例する車

M4 GTSの特長は速度と運転感覚の向上が見事なまでに比例している点です。これは、後部席をなくして、車重1600kgとM4クーペよりも30kgの軽量に成功しているのが起因しているからでしょう。

ボンネットはアルミからカーボンにかわり、ドア内側の引き手をストラップに換えている点も見逃せません。エアロパーツやルーフにもカーボンファイバー強化樹脂を組み合わせています。

サーキット走行を最優先して締め上げたサスペンションも高速域では角がとれてきます。スピードを上げれば上げるほど、軽い運転感覚が増し、自由自在に操れるという素晴らしい性能を持っているのです。

シャープなハンドリングも見逃せません。ステアリングを切り始めた途端にノーズが向きを変えてグイグイと曲がります。M4よりも格段に切れ味が増している点はGTSの凄みといえます。

コーナリング・フォースが高まった時のステアリングの重みは繊細で、脱出時には後輪に十分なパワーが伝わり、タイヤの接地面がどのような状況かもよくわかります。トランクションやスタビリティ・コントロールはよく効くので挙動がニュートラルになってもハンドリングの楽しさが失われることはありません。

6. BMW M4 GTSまとめ

BMW M4 GTSは、M社がモーターテクノロジーを結集して作った公道を走れるレーシングマシンで、世界初のウォーターインジェクションシステム、オーガニックLEDランプが搭載されています。

通常の車とは明らかに異質なモデルで、威圧的な武闘派のような存在感はリアスポイラー、ロールバー、削ぎ落とされた車高から見て取れます。

馬力はM4クーペの431馬力を500馬力にまで上げ、桁違いのパワーを誇ります。ボッシュ開発のウォーターブーストがこの馬力とCO2削減というエコを両立させています。

ドライブモードは全部で3種類あり、どのモードでも圧倒的な加速感を堪能できます。異次元の加速感だけではなく、加速音や回転落ちの際の爆裂音も圧倒的で、速度を上げれば上げるほど運転感覚の向上を感じることができる究極のレーシング性能を持ち合わせています。

BMW M4 GTSは走りの性能を究極にまで突き詰めたMであることは誰もが認めることでしょう。